interview 1
膨大なデータを分析することで見えてくる新しい未来
皆さんが担当している仕事について教えてください。
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髙栁
僕はHAKUHODO DX_UNITEDという組織の中にあるマーケティング×AI・データサイエンスの専門チーム「データサイエンスブティック」のリーダーを務めさせていただいています。クライアントが抱えているマーケティング課題を、AIやデータサイエンスを使って解決していくことが主な仕事内容です。 -
久保
自分はデータドリブンプラニング局で、クライアントに対して広告の打ち出し方を企画立案する、いわゆるストラテジックプラニング(以下、STP職)の仕事をしています。ただ、通常のSTP職と違って、ここの局員は基本的にデータサイエンスの知見を持っています。だから、「来期はどういったCMをつくりましょうか」という話になったら、単純にデータを集計するだけじゃなく、必要に応じてデータサイエンスの技法を取り入れて、客観性を求めながらより精緻な解決法を提示していくことができます。 -
小山田
僕は博報堂DYメディアパートナーズと博報堂テクノロジーズに所属していて、メディア関連のデータをあつかうことが大きな仕事です。例えば、テレビ番組の視聴率を予測する機械学習系のシステムの開発であったり、テレビ番組のCMを画像生成AIでリサイクルするような取り組みを行ってきました。 他にも人間とAIによる共創に関する研究として、ラップのできるAIを開発する「AIラッパー」プロジェクトに携わっており、新聞社で活用いただいたり、ライブイベントの演出に活かしてもらったりしています。 -
髙栁
他にも僕たちは、データサイエンティストの仕事を疑似体験できる学生向けインターンシップ「DATA SCIENCE CAMP」に講師として参加しています。僕と久保君はマーケティングサイエンスコース、小山田君はデータサイエンス&エンジニアリングコースをそれぞれ担当しています。合わせて40名くらいの受講生に向けた、プログラムを実施しています。
広告会社のデータ領域で活躍する人材が増えている理由は何だと思いますか?
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久保
博報堂/博報堂DYメディアパートナーズでは、生活者の意識や実態を幅広くつかめるオリジナルのデータベースを持っているのですが、膨大なデータを分析することで、クライアントにより良い提案ができるんじゃないかという流れがあります。
広告業界には巨匠といわれるようなクリエイターがいますが、機械学習が発達したことで、巨匠たちにしかできない職人技のような仕事を数式で一部表現できるかもしれない。そして、解明された創作活動のプロセスをみんなでシェアすることで、面白いキャッチコピーがつくれるかもしれない。そういった部分にデータサイエンスを活用していこうという状況があります。
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小山田
メディア領域でいうと、従来はマスメディアを中心に広告効果などのデータ化が難しい側面もありましたが、近年では様々な工夫で実現されてきています。その為、これまでよりも踏み込んだ効果検証などの需要が高まっています。またデータが溜まってくると、予測やシミュレーションもできるようになる。そういったソリューションを開発し、より効果的なメディアプランニングを実現していく動きも、データ人材の必要性に繋がっていると思います。 -
髙栁
昔と比べて、博報堂/博報堂DYメディアパートナーズの仕事が2つの領域で拡大していることも関係していると思いますね。1つは、コミュニケーションの注力領域の拡大。従来のマーケティングでは基本的に新しい顧客の獲得を目指していましたが、最近ではCRM(顧客関係管理)って言葉がよく使われているように、既存顧客に買い続けてもらうことの重要度が増してきています。
既存顧客については、サービス内の行動履歴や購買履歴などのデータが取得出来ている事が多い。そのデータを使って、顧客それぞれの状況や好みに応じたコミュニケーションをしていく事が可能です。そこにデータサイエンティストの活躍の場が広がっているわけです。
もう1つは、マーケティング周辺領域への業務拡大です。例えば、テレビCMを打つ量やSNSでのバズり具合によって商品の売れ行きは変わってくるじゃないですか。過去の販売データやサプライチェーン系のデータだけじゃなく、こういったマーケティングデータから需要予測モデルをつくって商品発注を最適化して、在庫・廃棄を減らしていくようなプロジェクトも、最近では増えています。それ以外にも「お客さまの声」みたいな、大量に集まった自然言語を生成AIによって分類し、製品の改善点を見つけて新しい製品開発につなげるとか。マーケティングデータを、新商品開発や新規事業開発、サプライチェーン改善、カスタマーサポート改善、営業改善などの周辺領域に活かす仕事に拡大していっていることも、データ人材の需要につながっていると感じています。
interview 2
広告の枠を飛び越えて、いままでなかった仕事に挑戦していく
博報堂DYグループにおけるご自身の「使命」は何だと思いますか?
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髙栁
博報堂DYグループには優秀なデータサイエンティストが年々増えていて、データサイエンス系の仕事に対して強みがあるわけです。その中で僕の使命は、いままでやったことのない仕事をつくって、新しい領域の仕事を増やしていくことだと思っています。 -
久保
マーケティングの世界はともすれば、「なんかいいじゃない」とか「なんか売れてるよね」とか、感覚に頼らざるを得ない部分もあるのですが、その「なんか」を言語化していくことです。言葉でも数字でもプログラムでも、とにかく記述可能なカタチにしていきたいと思っています。 -
小山田
僕はAIや機械学習とかにしばられず、広くテクノロジーを使って、何か驚きとかワクワク感を与えられるようなアウトプットを出していったり。誤解を恐れずいうと、もっと変なふうにAIとかを使ってみることに挑戦していきたいですね。
広告ビジネスにおけるデータ領域の面白さや、やりがいは何でしょうか?
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久保
普段買い物する時って、その商品を買った理由をいちいち考えないじゃないですか。ただ、買い物のデータが集まってくるとその根拠がわかってきて、自分は意識していないけれどその時に何を考えていたかがわかってくる。
つまり「コンビニのレジ前のお団子ってなんで食べたくなるんだろう」みたいなことがわかると、自分を理解することにつながるわけで。そういった意味で、自分の日常生活に紐づいた課題を解決したり、深掘ってみたりすることに面白さがあるように思います。
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小山田
広告の領域でデータサイエンスを扱っていると「効率化」や「コスパ良く」といった方向性を考えがちな部分もあると思います。もちろん、それはすごく大事なことなのですが、それが本当に楽しいのか、人や社会にとって本当にいいことなのだろうかってことも積極的に考えて、アウトプットを出したい。その方がおもしろいですし、自分の仕事のやりがいは、そういった部分にある気がします。 -
髙栁
データストラテジストの視点でいうと、僕がやっていることは従来の広告代理店の仕事とはかなり違うと思います。広くいうとクライアント企業のDX支援をやっている感じです。そのなかで、やはりクライアントと一緒に継続的にプロジェクトを進めていったり、発注していただけたりとか。その過程でパートナーシップを深めていくことにやりがいを感じます。やっぱり、クライアントから褒められると嬉しいですよね。 -
久保
たしかに。褒められたり、相手の度肝を抜いたり。そういう瞬間はかなりやりがいを感じます。たとえ言葉はなくとも継続的に仕事を発注してくれるのは、自分に価値を感じてくれている証拠なので、それだけでも十分幸せですよね。
interview 3
自分自身を知ることが誰かを知ることつながっている
皆さんは、なぜ広告会社に入社しようと思ったのでしょうか?
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髙栁
さっきの久保君の話に結構共通するところがあって、僕は学生の時、人間の消費行動って全然合理的じゃないのが面白いと思ったんです。同じ500ミリリットルのビールでも、500円で出している飲食店もあれば1000円の店もある。利用されるシーンなど満たしているニーズが違うからなんですけど、モノ自体の価値以外のところで商品の価格が決まるってことは、モノ以外の部分が結構大事なんじゃないかと。だからマーケティングって面白そうだなと思って入社した感じです。 -
小山田
僕は大学の研究室に入った頃、ちょうどディープラーニングみたいなものが世間的にも知られはじめたタイミングで。そういうのがおもしろいと思って、自分の声を別人に変換するとか、なまりのある英語をネイティブらしい発音に変換したりする研究をしていました。そんな時、博報堂/博報堂DYメディアパートナーズのWEBページにAIでカレーをつくる話とか、映画のキャッチコピーをAIにつくらせてみるみたいな、いまの時代では驚きが少ないかもしれないけど、当時からしたら新しい取り組みが掲載されていました。そんなことをやっている人が広告会社にいることに、すごいインパクトを感じたんですよね。自分もテクノロジーをそんなふうに使ってみたいと思って、博報堂/博報堂DYメディアパートナーズを選びました。 -
久保
僕の場合、学生時代にプロダクトデザインを勉強していたんですけど、ティーポットの持ち手や形がどんなだったら使いやすいかみたいな、人間工学に近い意味でのデザインが興味対象でした。その時興味の根幹にあったのが、いまと同じく人間の行動で、それを突き詰めていくことは広告会社の仕事にも共通する部分があるんじゃないかと思ったのが、入社の動機になりました。
interview 4
何者にでもなれるきみへ
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小山田
データサイエンスのスキルは大切だけど、それさえあれば広告業界で活躍できるかといったら、なかなか難しい。データサイエンスって、結局、人が行動したデータを分析したり、データの裏側にいる人を想像することだと思います。だから、自分がそれまで経験してきたことが絶対活きてくるので、一つひとつの体験を大切にしてほしいです。あえて何者かになろうとするのではなく、普段の自分を大切にしていってほしいですね。 -
久保
自分も小山田くんと同じ考えで、広告というかマーケティングの世界で大事なのは、生活者に対する想像力だと思います。先ほど言語化の話をしましたけど、誰もが生活者の身になって考えられるわけではなく、例えば何かが流行っている理由やその面白さを見つけて、きちんと説明できるかどうかが重要になります。
そうやって、ものの面白さがわかる人間になるためには、自分がなぜそんな行動をするのか突き詰めて考えるだけでなく、例えばゲームをやらない人であっても、ゲームを楽しむ感覚を理解するような努力をしてほしい。その上で、ぜひ皆さんには「これって面白いよね」という着眼点をたくさんもった、最強の生活者になってほしいと思います。
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髙栁
データサイエンティストは、博報堂/博報堂DYメディアパートナーズだけでなく世の中的にも希少価値が高い存在です。特に「データサイエンス×マーケティング」のスキルを持ち合わせている人材は、さらに希少価値が高い。そうしたスキルを使った仕事は世の中全体を見ても未開拓の領域なので、まだ誰も体験したことのない最前線の仕事ができるんじゃないかと思っています。「何者にでもなれる君」には、そういうキャリアプランもあるんじゃないかっていうのが、僕からの提案です。
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