interview 1
AIによる業務の汎用化で事業を拡張
担当している仕事について教えてください。
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平川
僕が所属しているのは、博報堂DYメディアパートナーズと博報堂テクノロジーズです。仕事はいくつかあって、例えば広告の過去データをもとに、どれだけの予算を使ったら、どれくらいの広告効果が見込めるのかを予測するような機械学習を活用したソリューションの開発。ほかにはテレビ番組の映像資源をもとに、画像生成AIを使って番宣広告のCMをつくったり、動画像・3Dなどの生成AIを活用したメディアコンテンツ開発みたいなこともやっています。 -
金井
僕は博報堂のエクスペリエンスクリエイティブ局に所属していて、クライアントのデータを活用したCRM(Customer Relationship Management)の高度化やサービス開発に取り組んでいます。例えば、購買データやWebサイトの利用ログを活用してCRM施策のプラニングや実施後の効果検証を行ったり、IoTデータの分析を通じて新規サービスを開発するような業務に携わってきました。 -
平川
博報堂DYグループの横断型組織「Creative technology lab beat」には、一緒に参加しているよね。その中でも僕はLLM(大規模言語モデル)やバーチャルヒューマンを活用した施策を実験的にやって、事業化に向けた動きに関わっていたりします。 -
金井
他にも2人とも、博報堂のデータサイエンスのインターンシップにも関わっていて、平川君はエンジニアリングコースを、自分はマーケティングサイエンスコースを担当しています。
interview 2
「人」がいるデータを扱えるのがこの仕事の面白さ
なぜ広告会社が今、データ領域を拡張しているのでしょうか?
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平川
ここ10年くらい、ニーズの分析や広告配信の最適化、広告効果検証みたいなことにデータが使われていて、計測手法の進化とともに、リッチなデータが手に入るようになってきている。その傍で、TransformersやLLMのような機械学習分野の研究も進んでいて、どちらも日々進化しています。視聴率にもディープラーニングを使うことで、より精度の良い予測もできるようになっている。そういった変化に対応していくためにデータサイエンティストが必要とされているのかな、というふうに思っています。 -
金井
マーケティングとかメディアって職人技みたいなところがあって、クリエイティブな領域になるほど「イッテンモノ」を好む傾向がある。ただ、AIを使って汎用化できる部分を活用していけば効率化につながるし、その結果、イッテンモノを磨き込む時間を増やせるわけで、結果的に高度化にもつながっていく。そういった部分でデータやAIに精通している人間が求められているんだろうと思います。 -
平川
有名なクリエイティブディレクターの暗黙知みたいなものを生成AIで言語化して、若手がそのスキルを理解していくみたいな方法もあるのかなと。 -
金井
他にもサービス開発の領域にもデータサイエンスの活用が広がってきているかな。データを観察してそこからインサイトを得て、新しいサービスを考えるというプロセスは、博報堂の根底にある「生活者を深く見つめる」ことそのものだから、マーケティングでの知見を活用できると思っていて。あとはデータサイエンスやAIをサービスに組み込むことで可能になるユーザー体験も沢山あります。レコメンドとかはその代表例ですね。なので広告やマーケティングに閉じない幅広い領域に、データサイエンスが使われるようになってきているというのが、僕の実感です。
広告ビジネスにおけるデータサイエンティストの面白さは何でしょうか?
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平川
「人」がいるっていうのが一番大きいと思います。日々扱っている視聴率や調査データなんかは数字の羅列だけれど、その裏には確かに「人」がいる。どんなデータを見てもそこに「人」の存在を感じられることに、僕は面白さを感じます。 -
金井
「人」がいるデータって、やっぱり広告会社が扱うデータとして特徴的だよね? -
平川
そうだね。僕は学生時代、どの金属をどれくらいの比率で混ぜたらより強い金属ができるか、みたいなことをデータ軸として研究していたんですが、今の仕事と大きく違うのはデータが「人」から生まれたものかどうか。「人」を発生源とするデータは人の好き嫌い含む感情が顕在化していたり、不確実で流動的で、意外性にあふれている。テキストデータや画像データに関しても同じで、扱うデータがどれも面白いっていうのが、いいなって思います。 -
金井
僕は博報堂に入ってから、購買データをはじめとした色々なアクチュアルデータを分析する機会があって、その際に平川君の言う通り、その背後にいる「人」を考えることってとても大事だと思っています。「人」を考えることではじめて新しい仮説を思いついたり、分析結果を深く解釈できたりするんですよね。
interview 3
テクノロジーの自由な使い方に衝撃を受けたインターンシップ
学生時代の研究エピソードについてお聞かせください。
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金井
僕が大学に入った2016年頃は、機械学習分野が大きく盛り上がり始めた時期で、データの力でどんなことができるのか、AIの中身はどうなっているのか、興味を持って勉強を始めたことがきっかけでした。その流れで大学院では機械学習の理論の研究室を選んで、データの変化検知に関する研究をしていました。一方で、元々新しい事業やサービスを考えることも好きだったので、そこにデータサイエンスやテクノロジーをかけ合わせることで新しい価値が生み出せないだろうかということを学生の頃から考えていた気がします。 -
平川
僕は高専から大学院へ進んだんですが、高専を選んだのは、当時、ハッカーが活躍する漫画を読んで「自分もハッカーになりたい!」っていう憧れからです(笑)。もちろんハッカーへの道は高専に入って1年ぐらいで無理だと気づきましたが、プログラミングが面白いと思うようになり、そこからディープラーニング以前の画像処理を研究し、大学院では材料科学を適応領域にしたデータサイエンスを研究したって感じです。当時の自分は、高専から大学院へ行く進路もそうだし、エンジニアリングではなくデータサイエンスで大学院に進学しているし、就活では広告業界にも目を向けていて「あいつ、ちょっと変だな」みたいに思われていたことは否定できませんね。 -
金井
僕の周りも就職先はエンジニアとか、金融業界、企業のDX部門、コンサルとかなんで、広告業界はちょっと珍しい存在だったと思います。
データサイエンス領域出身で、なぜ広告会社を選んだのですか?
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金井
理系の学生からすると広告会社って遠いイメージはあるのですが、僕の場合、文系の友人から博報堂の話を聞いたこともあったので、博報堂という会社についてはある程度知っていました。そのうえで、博報堂がデータサイエンスのインターンシップを開催していることを知り、自分の専門にもマッチしそうと思い参加しました。そこでこの会社にはいろいろな専門性や得意なこと、好きなものを持っている人がたくさん集まっていて、それがすごく魅力だと思いました。仕事の中身についても、僕自身、理系ではあるものの社会的な領域にも興味がありましたし、そういうところに長期的にアクションしていきたかったので、博報堂ならそれをすごく楽しめるんじゃないかって思ったんです。 -
平川
僕もインターンシップに参加しましたが、もともとは「博報堂」という名前を見てもパッとなんの会社かわからずで(笑)。就活サイトから届くたくさんの企業メッセージのなかにあった、はじめて聞く珍しい名前に興味をひかれて参加したというのがきっかけになります。その時に、データ関係の事例紹介があって、Marketing Mix Modelingのような、マーケティング領域における統計のガチ研究みたいな仕事がある一方で、テクノロジーを使って面白いコンテンツをつくろうみたいな仕事もあって。例えば、AIでカレーをつくるとか、AIでラップをつくるとか。それまでは愚直な使い方しか知らなかったので、それを聞いて「テクノロジーってこう使っていいんだ!」みたいな衝撃を受けました。テクノロジーで面白いものをつくってみたい!という気持ちがある一方で、研究領域にも手を出せる、そんなキャリアの幅広さが最終的な決め手になりました。
interview 4
何者にでもなれるきみへ
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平川
一つの方面に拘束されることなく、生活者から発生する面白いデータを扱えるのが、広告会社におけるデータ領域の醍醐味です。マーケティングをデータという視点から眺めるような研究もできますし、“ちょっと未来”の新しいコンテンツの可能性も探れる、データ領域だけでも、まさに何者にもなれる環境があります。そのうえで学生のみなさんに伝えたいのは、意識して「何者」になる必要はないのかなと。「何者か」なんて過去を振り返ったときにようやく決まるようなものだと思うので、まずは今、好きなことを全力で楽しんでください。最終的には好きでやってきたことが一番の武器になると思いますし、博報堂/博報堂DY メディアパートナーズは、そういう「今」を楽しめる学生のみなさんを歓迎します。 -
金井
広告会社の守備範囲ってすごく狭そうに見えますが、実際には生活者が関わるあらゆるデータにさわれる会社で、実はとても幅が広いんです。データやAIを適用できる範囲もマーケティング、メディア、クリエイティブ、サービス開発、コンサルティングみたいなものまで、すごく多様であることをぜひ知っておいてほしいです。そして、僕も平川君と同意見で、博報堂は「何者」にでもなれる会社だと思います。だから、気軽にうちの会社の門をたたいてみてほしいですね。ちょっと来てみて、少し触れてみるだけで、きっと広告会社に対する印象が変わると思いますよ。
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