interview 1
クリエイティブ職にも、いろいろある。
おふたりの仕事について教えてください
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小島
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栗田
僕自身は広告そのものをつくる仕事ではなく、アプリやWEBなど、デジタルの領域を担当しています。ユーザーにどんな体験を提供できるか、デジタルの側面から考える仕事ですね。生成AIなど、最新のテクノロジーを使ったサービスの開発も手がけています。 -
小島
栗田さんと比べると、僕は「従来型の広告パーソン」に近いですね。でも、広告の環境は昔と大きく変わりました。昔はテレビや新聞など、マスベースの広告だけで多くの人にリーチできたけれど、今では「生活者」があらゆるところに散らばっている。ほとんどの人がスマホを持ち、それぞれの興味に応じたツールやコンテンツを選ぶ時代なので、それぞれの場に合わせたメッセージ、コンテンツが求められます。 -
栗田
翔太が従来からの広告パーソンなら、僕の守備範囲は、博報堂の中でもかなりレアじゃないかな。アプリとかWEBなどを活用したコミュニケーションだけではなく、メタバースだったりAIだったりと、新たな技術の活用法を考えていち早く提案するのも僕の仕事のうちだから。「このクライアントなら、こんなふうに使えるんじゃないか」とか「この技術はこういう広告に活用できるんじゃないか」などと考えながらね。 -
小島
それこそ、栗田さんがやっているAIを使って「バーチャル生活者」をつくるプロジェクトは、クリエイティブでありつつ技術的要素が強い仕事ですよね。 -
栗田
そうだね。AIで仮想的な人物をつくり、その行動や意見をマーケティングに活かす企画だね。例えば、新商品を開発する際にターゲット層の意見を仮想人物に尋ねたり、その反応を観察したり。これまでのアンケート調査などより効率的で、リアルなデータを得られるのがポイントです。
仕事の面白みはどんなところにありますか?
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小島
僕らの仕事は、「いいコト」を探して伝えること。商品だったり、会社だったりの良さを探し、表現を考えて、伝える。今はマルチメディアだから手がける範囲も広いぶん、それぞれの温度感みたいなものを探りながら、そこに合致したメッセージを伝えることができると、多くの人に喜んでもらえて嬉しいし、面白いです。 -
栗田
僕の仕事の面白さは、新しい技術を取り入れながら、これまでにない体験を生み出せるところ。最先端の技術をどう使えば面白いものができるか、クリエイティブとテクノロジーの掛け合わせで、新しいものを世に送り出すのは面白くもあり、やりがいもあります。
interview 2
最前線の面白いものを、興味の赴くままにインプット。
おふたりは、日ごろどんな目線で社会を見ていますか? 意識してインプットしている情報などはありますか?
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小島
入社する前と大きく変わってはいないですね。昔から面白いものが好きで、コンテンツはもちろんですが、人と話すのもすごく好き。その延長線上に、今のインプットもあると思っています。気になったものはとりあえず触る、人からお勧めされたものを見る。あえてやっているのではなく、全部、自分で興味を持ってやっているだけです。 -
栗田
僕も翔太に結構近いかな。そもそも、うちのクリエイティブ職の人は、普通の人よりもコンテンツ好きが多い印象ですね。ただ僕の場合、意識的にキャッチアップしているところは、テクノロジー。好きだし、得意な分野だから。SNSでは、シリコンバレーとかアメリカ西海岸とか、最新のテクノロジーが生まれる地域からの情報をチェックしています。 -
小島
僕らは、一般の人よりもコンテンツとか最新情報だとかを多く見る習慣が勝手についているだけですよね。ただ、今は歳を取っちゃったので、仕事で若い人向けのものをつくるときには、意識して音楽とか芸能人とか、若い人の流行を取り入れる必要があるので、そこは留意しています。普通にインプットしているだけだと、年齢とともに感覚もどんどん古くなってしまうから。 -
栗田
翔太はアウトプットもすごいんだよな。コンテンツを人に勧める能力というか、要素をかみ砕いて何が良かったのか説明してくれるのがすごく上手。 -
小島
博報堂では仕事場でも「最近何にハマっているの?」とか「何か面白いことあった?」みたいな会話が多くて、仲間がSNSに上げている内容とかも話題に出ます。僕は雑談で、人にお勧めを紹介するのがすごく好きで。広告と同じように、何が面白かったかを一度分解して、人に伝えやすいように再構築する。これって、結構大変ですけど、アウトプットという意味では、いいトレーニングになると思うんです。 -
栗田
僕はそういう紹介が下手なので、翔太の話をそのまま他で使ってます(笑)。
interview 3
何者でもなかった、学生時代。
学生時代のエピソードをお聞かせください。
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小島
何か今につながるようなことをするわけでもなく、麻雀して飲み会する、みたいなサークルに入って毎日麻雀してました。ただ、コンテンツでも部活でも何でも「心を動かされる瞬間」がすごく好きだったんで、それをつくれるようになりたい、とは漠然と思っていました。
でも、絵が描けないから漫画家にはなれないし、映画監督もいいなと思ったけど専門の学校にチャレンジするほど覚悟が決まっていたわけでもなく。結局、ただ普通にレールに乗って受験して、就職する……みたいな流れでしたね。栗田さんは、スノボ思いっきりやってたじゃないですか。
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栗田
確かに僕は学生時代、スノーボードを本気でやってて、インストラクターの資格も取ったからね。でも、就活ではただただ「とにかく就職しなきゃヤバい」という状況だったから。 -
小島
リーマンショックの時期でしたっけ。 -
栗田
そう、リーマンショックの影響があった頃で。入社したのは電機メーカーだったけど、本当はメディア、特にテレビに興味があって、実際にテレビ局も受けたりして。でも当時はやりたいことより、どこかに就職することのほうが大事でしたね。その後、転職を考えていたときに博報堂の募集を見て、もしかしたらメディアの世界に入れるかもなと。当時、ちょうど博報堂でもメーカーとコラボしてビッグデータとかそういう分野でやります、みたいな報道があり、これをフックにすればメディアの仕事ができるかも、と思ってチャレンジしました。 -
小島
僕は商学部で、周囲の学生たちはみんな商社とか金融とかを目指していたんですが、自分には向いていないなと。いわゆるサラリーマン的な生活ができると思っていなかった。ただ、「まだ何も表現してない」「今はできないけれども、早く自分が企画とかそういうのをして、力を発揮できる場所がほしい」とは強く思っていました。それで、広告会社を志望したんです。結果として博報堂に入社できたのはありがたかったです。博報堂は1年目から自由にさせてくれて、サークルみたいなオープンな雰囲気もあって、自分には合っていましたね。
ところでおふたりはとても深い仲だと伺いました。
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栗田
同期ではないんですけど、すごく仲いいですね。翔太には、僕の結婚式で友人代表のスピーチをしてもらったくらいの関係です。 -
小島
栗田さんが1年間アメリカにいたころ、わざわざ会いに行ったほどですからね!
最初は、海外研修に行ったとき、僕の同期と栗田さんがつながっていて、その同期の紹介で会ったんですよね。当時、僕は今より痩せていて、髪型もそのころの栗田さんと似てて。「翔太にマジで似てる先輩がいるんだよ!」って言われていたんです。現地でパーティーがあったとき、ついに出会いました。
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栗田
僕の方も「栗田さんに似てる同期がいるんですよ」って聞いていて、向こうから歩いてくる翔太を見て「絶対こいつだ」ってわかりました。それからはよく一緒に飲むようになって。 -
小島
でも仕事で同じチームになったことはほとんどないんですよ。 -
栗田
一度だけ社内競合になって、僕が圧倒的に負けましたけどね(笑)。
interview 4
何者にでもなれるきみへ
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栗田
自分が何者であるか、どう生きるか、それを見つけることって難しいですよね。僕が最近意識していることは「自分が一番信じるものはなにか?」。それを明確に持っておくということです。言い換えれば、自分の行動、思考の軸を持っておくこと。僕の場合は、「とにかく新しいものをつくる」こと。それを一番大事なほう方針にしています。就活生のみなさんも「自分が一番信じるものは?」と自分に問いかけてみたら、何か見えてくるかもしれません。もちろん、すぐに見つからなくても大丈夫。いつか見つかったらラッキーくらいで思っていれば、良いのではないでしょうか。 -
小島
世の中は「やる気のある人」「やりたいという思いの燃え上がっている人」を常に求めています。やりたいという気持ちがある、やる気が燃えたぎっていれば必ず誰かに見い出されるはず。僕自身、学生時代は何もありませんでした。でも「俺は面白い! 何かをやりとげる!」と強く思っていました。何もなかったけれど、燃えていたんです。みなさんも自分なりの「やる気」を出して、燃えてください。その「火力」を社会は求めています。
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僕はクリエイティブディレクターです。仕事は、広告をつくること。ポスターからテレビCM、イベントまで何でもつくりますが、一番多いのはCM系の映像ですね。
広告は僕一人ではなく、チームでつくります。コピーライター、CMプラナー、アートディレクターなど、それぞれ専門のスキルをもつ人々が集まったチームをリードして、広告の方向性を決めたり、最終的な意思決定したりするのが僕の役割です。