Member
-
クリエイティブ職
奥山 雄太
クリエイティブディレクター
2009年入社
-
クリエイティブ職
川辺 圭
アートディレクター
2009年入社
-
クリエイティブ職
雨海 祐介
プラナー
2011年入社
-
クリエイティブ職
横井 優樹
プラナー、映像作家
2013年入社
Interview 1
いいチームから
いい仕事が生まれる
「相鉄・東急直通線開業記念ムービー」プロジェクトのはじまりについて教えてください。
-
奥山
-
川辺
クリエイティブだけではなく、関わった人たちみんな含めてのチームだったからこそ、今回は実現できたと思います。ここにはいないけれど、比較的年次の若いビジネスプロデュース職(以下、BP職)の山田沙耶さんがすごく頑張ってくれて。クリエイターがいい仕事をするためには、いいBP職が必要なんですよ。
-
雨海
PR職の岡本桜さんも、すごく頑張ってくれましたよね。本当にいいチームで、このプロジェクトは人に恵まれたことが幸運でした。
-
奥山
僕ら社内チームのメンバーだけじゃなく、クライアントチーム、水野さん、監督、プロダクションチーム、音楽チーム、 PRチーム、営業チームまで、関係者全員が「最高の映像をつくろう」と同じ夢を見る文化祭のようなプロジェクトで。そういたチーム一丸の熱量のようなものがフィルムに宿ったのではないかなと思います。
Interview 2
日常をとらえて
企画に活かす
今回の企画はどのように生まれたのでしょうか?
-
川辺
打ち合わせは基本“雑談”で、2〜3時間かけて話をしていました。本当に雑談すぎて、「今日は何もなかったの?」という感じで終わることが多かったんですが、プレゼンが近くなると奥山がビシッとすごいものをまとめてくるんですよ。
-
横井
奥山さんがまとめる際の表現とロジックは本当にすごいですよね。それに最近は、オンラインでの会議も増えて雑談できる場が少なく感じてきていたので、すごく有意義な時間だったと思います。
-
奥山
“雑談” はよく言えば、それぞれの人生の中にある電車についての記憶だったり情景だったりを探りあっていって、「あ、それわかる!」みたいな共感の軸を見つける作業とも言えます。そんなプロセスの中で大切にしようと思ったのが「365日」と「人生の行動範囲が広がっていく」ということ。
相鉄線は、旅行や遠出の時だけ使うものではなく、通勤や通学など日常的に使うインフラのような存在なので、特別な瞬間ではなく365日を描くようなものにしようと。あとは「子供の頃、電車に乗ると世界が広がる感じがしたよね」みたいな会話もあり、直通の価値は人生の行動範囲を広げてくれることだよなと。そのあたりを土台に「父と娘を定点観測し、直通によって新たな世界へと巣立っていく」という軸になっていきました。 -
雨海
2人組でいこうと決まってからも、女子高生2人組とか、母と息子とか。多くの人の感情を揺さぶる関係性って、どういう2人組かを話し合いました。
-
奥山
父と娘でいこうと決まってからは、ヒアリング会もしました。娘を持つ社内の父親たちに「どんな瞬間に親離れを感じるか」を聞かせてもらったのですが、「中学生になった途端に変わる」だったり「スマホを持つと突然距離が生まれる」といった声が多くて。
進学する、部活に入る、彼氏ができる、スマホを手に入れるといった、家族の外側のコミュニティに入っていくことがトリガーとなって、親との距離が非連続に生まれていく瞬間があるのだなと感じました。社会に近づくほど、家族と遠のく。そうしたトリガーを映像の中に象徴的に入れながら、父と娘の距離の変化のディティールを監督と詰めていきました。
Interview 3
リアリティを追求
すべては“目標”のために
このムービーはコピーも印象的でした。
-
川辺
実は今回、コピーライターは入っていません。なので、このメンバー中心に話し合ったのですが、そこで「いってらっしゃい」というワードが出てきたんです。それと、「いってらっしゃい」という言葉には「行って、そして、無事に帰ってきてください」という思いが込められているよね、と。
僕には息子がいますが、「いってらっしゃい」には、「気をつけて」や「遠くまで行っちゃだめよ」という注意の意味を含ませることが多いんです。でも今回は、そっと見守るというか、送り出す気持ちを込めたいとみんなで話しました。そんな時に奥山が、奇跡のコピーを持ってきたんですよね。 -
奥山
奇跡のコピーかはわかりませんが、あれは実体験からきていて。コピーを悩んでいた週末に、5歳の息子と遊園地に行ったのですが、息子がパッと僕の手を離して走り出して、振り向きもせずにどんどん前に進んでいく瞬間があって。その背中が妙に遠く感じて、このままどんどん離れていくのだなと。そのときの感情がそのまま「手を離したあの日から、君はどこまで遠くへ行くんだろう。」だったり「いってらっしゃい、君が思うところまで。」という言葉になっています。
-
川辺
子育てしていて良かったね(笑)。
その後、制作はどのように進行しましたか?
-
奥山
情報量の多い演技や美術や衣装と非常に難易度の高い撮影との掛け合わせなので、クライアントも含めて、監督や制作プロダクション、スタッフたちの汗と涙の結晶ですね。
-
川辺
すごく大変だったけれど、スタッフみんなが楽しんでいたのが印象的でしたね。もちろん、僕らも含めて、みんながこの作品を少しでも良くするために頑張りました。横井のメイキングムービーも良かったよね。
横井さんがメイキングを監督したのですか?
-
横井
はい。これも大変でしたが、楽しかったですね。とにかく現場が特殊で、大規模な撮影でした。でも、みんなが言ったように、全員が同じ目標に向かって1つの方向を見つめていた。メイキングを見せた監督に、お褒めの言葉をいただいたのも嬉しかったです。
最後に、学生の皆さんへメッセージをお願いします。
-
横井
AIが私たちの生活にどんどん入ってくるようになって、クリエイティブにもAIが使われ始めています。でもAIは、定義がないと動けない。まだこの世界でデータ化されていない何者でもないものはつくれないんです。だから、何者でもないことは強み。いまは、自分を上手く定義するのではなく、そのままをぶつけてください。
-
雨海
何者でもない人でも、電車に乗ったことはありますよね。この仕事では、何か特別なことが必要というより、日々生きるなかで何を感じ取るのか、何を記憶するのか、そういうことが大事なのだと思います。何でもない出来事の一つひとつが、こんなにも活きる仕事は珍しいと思います。皆さんも、そういう気づきを大切にしてください。
-
川辺
僕はデザイナーですが、昔、「ミスター一般人」というあだ名を付けられました。でもそれは、誉め言葉だったんです。普通に生活することが、この会社ではとても大切なことです。そして、日々の仕事で、こんなにも学ぶことがあり、それが楽しい。皆さん、「何者でもないこと」を誇りにしてください。
-
奥山
一般大学からコピーライターに憧れて入社しましたが、今となっては映像を軸にしながら、今回のような世の中で話題になる映像企画を作らせてもらったり、他の仕事ではアーティストのライブステージ演出をさせてもらったりと、15年前には想像もしなかったような毎日です。
小学校から大学までの学生期間は16年、それを思うと15年ってすごい長さです。クリエイティブのスキルや経験は社会人になってからいくらでも伸ばすことができるので、「何者でもない」人にとって、こんなに成長を楽しめる仕事もなかなかないんじゃないかなと思いますね。
相鉄線が東急線と直通するにあたり、話題性のあるムービーをつくりたいということで声をかけていただきました。長年、相鉄のブランドパートナーをされているgood design companyの水野学さん、2019年のJR直通記念ムービーを演出した柳沢監督、そして僕ら博報堂とでチームを組んでプロジェクトを進めていきました。
柳沢さんとは何度もご一緒している旧知の仲ですし、相鉄ブランドを背負う水野さんとも頻繁にディスカッションさせてもらって、「いいものをつくる」ということに対して澱みなく風通しのよい、これ以上ない座組でしたね。