Member
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クリエイティブ職
原口 亮太
クリエイティブディレクター
2009年入社
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クリエイティブ職
大石 将平
コピーライター
2014年入社
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ビジネスプロデュース職
富島 梨早
ビジネスプロデューサー
2023年キャリア入社(2014年入社扱い)
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PR職
根本 崚佑
PRプラナー
2021年入社
Interview 1
海外スーパーでの違和感が
課題解決のアイデアに
「座ってイイッスPROJECT」の始まりについて教えてください。
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原口
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富島
マイナビさんと私たちとの間では、日常的に、プロモーション業務支援に留まらず、求職者の就業体験向上や労働環境の改善などに向けても議論を重ねていました。社内ネットワークをフル活用してアイデアを探る中、原口さんの着眼点を聞いて、雇用主と求職者の双方に寄り添っているマイナビさんだからこそ価値を感じていただけるのでは、と考え、声をかけてみることになりました。
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原口
「バイトと椅子、いけるかも!」となって大石くんともう1人、アートディレクターに声をかけて3人で企画をスタートしました。 ちなみに、その時に考えたコンセプトは「腰かけバイト」でした。
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大石
原口さんから急にメールが来たんですよね。「日本のレジって、なんで立っているんだろうね」って。
そこで、チームで企画を練り直して、ネーミングを考えました。「座ってダメですか」は強すぎる。もっと柔らかい感じがいい。結局、「椅子」という言葉を入れて「座ってイイッス」になりました。
時代の空気感が、寛容を求めている。「そのまんまでいいよ」っていうゆるい感じの寛容さ。だから「みんな座ろう」という強い言葉で世の中を変えようとするより、「良くないっすか?」ぐらいの方が、今どきの空気なんだと思いました。
Interview 2
地に足の着いた企画で
世の中を変える
プレゼン時、マイナビさんの反応はいかがでしたか?
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原口
マイナビさんにもご協力いただき、スムーズにプレゼンできる環境をつくっていただきました。こういったオリエンのないプレゼンでは、アイデアがしっかりと地に足が着いていることを見せる必要があります。そこで、「椅子をつくりましょう」ではなく、「椅子がつくれます」ということまで話せるよう、準備をしました。
「つくれます」とするための準備として、三重県にある椅子メーカーのSANKEIさんに「こういう椅子をつくれませんか」と企画概要を説明したところ、ちょうど工場の作業員の方たちが立ち仕事で使うための腰かけ椅子を企画中だったと返答があったんです。椅子一脚の制作費などのすり合わせも行い、プレゼンに臨むことができました。結果、マイナビさんに好感触を持っていただき、実現に向けて一歩を踏み出すことができました。 -
富島
クライアントとの関係性を深め、共創するということがやりたかったので、マイナビさんが喜んでくれたのは嬉しかったです。しかし、そこから先の導入企業探しは結構大変でしたね。
普段、さまざまな企業の採用活動を支援しているマイナビさんが、一生懸命交渉してくださいました。そんな中、協力してくださった企業の1つが、ドン・キホーテさん、特に浅草店さんです。浅草という土地柄、外国人の観光客も多く、まさにこういうレジ用の椅子を探していたということでした。 -
原口
浅草店はその後、メディアに露出する際の取材も真っ先に受けてくださいました。さらに、ドン・キホーテさんは浅草店の店長をはじめ、コーポレートの広報の方もとても積極的に協力してくださりすごく感謝しています。
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富島
マイナビさんも、今までの営業活動だけではなく、クライアントと共創することを望まれていたように思います。そのきっかけに「座ってイイッス」がうまくハマったんだと思います。
メディアでもたくさん紹介されていましたね。どんなことを意識してPR活動を行ったのですか?
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原口
最初は僕と大石くんとアートディレクターだけのチームでしたが、話が具体的に進むうちに、これはPRの話になると思い、マイナビ担当PRチームの根本くん、ここには同席していませんが杉山くんにも参加してもらいました。
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根本
まず椅子には「実体」があり、使用シーンを視覚的に伝えられる「絵の強さ」があります。それを取材で撮ってもらえるのは大きいなと思いました。
僕たちがチームに参加してPRの打ち出し方を考え始めた当初、「なんで椅子を置かないんですか?」という、アルバイトvs雇用側という対立構造を考えていました。けれども、雇用側も本当は椅子を置いて座って働いてもらいたいのではないかと思ったんです。結果的に、雇用側を仲間として巻き込んでいくという判断をしたのですが、それが成功のポイントだったのではないかと思います。
それから多くのステークホルダーが「いいね」と思ってくれる座組にすることも意識していました。ちゃんと調査をして、雇用側も実は椅子を置きたいと思っていた、アルバイトが座ることに賛成しているというストーリーをつくりました。 -
原口
PR担当を入れたことで、 座っているアルバイトを見てお客さんがどう思うかなどの実態も把握できるようになってきました。「全然、座っていてもいいんじゃないですか」みたいな 人が8割もいたんです。雇用側が「なんとなくダメだろうな」と思っていても、数字によるリアルな反応を見せることができたんです。この調査結果はまずSNSで反響が出て、それからWEBメディアで取り上げられ、テレビの取材が入りました。
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富島
多くのテレビ局で紹介していただいて、嬉しかったです。
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原口
こうやって広がっていくんだって、面白かったですね。
Interview 3
広告だけじゃない
ビジネスモデルを創出
「座ってイイッス」導入後の効果や反響をお聞かせください。
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富島
導入した企業のアルバイト採用に反響があったとマイナビさんより聞いています。また、「座ってイイッスPROJECT」の専用コンテンツをつくり、「座って働く」バイトを簡単に検索いただくことが可能になりました。
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大石
いわゆる立ち仕事の中で座って働けるバイトを検索できるのは「マイナビバイト」だけじゃないでしょうか。
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原口
プロジェクト開始から着実に導入店舗が広がり、とある大型スーパーでは関東エリアの全店舗が採用してくれました。本当にすごい!
一般的にイメージされる「広告」の領域を超えたプロジェクトだったんですね。
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原口
確かに今回のプロジェクトはテレビCMなど一般的なメディアを使った広告ではありませんが、世の中の景色を変えたり、そのきっかけをつくったりといった面白さがありました。それは、広告が見てもらいにくくなっている世の中で、広告を見ない人にも届けることができたということです。
ただこれは、広告制作にしっかりと携わってきた経験あってこその実現だと思っています。まっすぐに広告をつくることは本当に大事。そういう経験があったからこそ今回のような変化球の提案も実現できたと思います。特に僕の場合、アイデアを生み出す力は広告で培われたものですので。
広告で培われたアイデア力が、社会課題解決にも役立つのですね。
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原口
そうですね。でも、社会課題という大きな括りよりは、もっと身近な課題に活かしています。例えば「近所のスーパーのレジのおばちゃん、座ったらもっと楽に仕事できるだろうな」っていう発想です。大変なことが少しだけ楽になるというぐらいの小さい社会課題を一つひとつ解決することなら、実現の可能性が高くなるはずですよね。
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大石
僕は、今回のことを顕在している社会課題ではなく、「発見」だと思っています。このように課題を発見する力が広告会社の強みなんじゃないかなと思っています。
最後に、学生の皆さんにメッセージをお願いします。
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大石
私見ですが、対人コミュニケーションが苦手だと思っている人の方が向いているのかなと。コミュニケーションが苦手で、コミュニケーションについて深く考えて悩んでいる人の方が向いている気がします。僕自身、悩み続けたスキルが20年分溜まっているから。クリエイティブにはそういう人が多いですよ。
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根本
私は、PRのことなど何も知らないままPR局に配属されました。仕事のことは、会社に入ってから詳しくなればいいと思います。就活対策というより、普段から自分の好きなものを見て、そのことについて楽しく話す時間を大事にした方がいいと思います。
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富島
私はキャリア入社なのですが、最終面接では好きなゲームや漫画の話ばかりしていました。語りたいことがあるほうが、この会社や広告の仕事は楽しいんじゃないかなと思います。
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原口
とにかく「広告が好き」ということだけで、僕はまだまだこの仕事を続けていきたいと思っています。広告が好きな人は、ぜひ博報堂に!
きっかけは、僕が海外旅行に行ったときの光景です。海外では、スーパーのスタッフが、座りながらレジを打っているんです。それが、日本のレジを見慣れている僕からすると、すごくカルチャーショックでした。「なんでこんなにゆるいんだろう。日本のレジもそういうスタイルになればいいのに」って思ったんです。
その後、いろいろ調べてみたら海外ではレジに最適化した椅子があるということがわかりました。もしかしたらその椅子を日本で導入して新たなレジ文化を普及させるってことが、広告的な企画になるかもと考えたのです。