Member
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ビジネスプロデュース職
荒金 弘晴
ビジネスプロデューサー
2011年入社
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ビジネスプロデュース職
木村 優希
ビジネスプロデューサー
2019年キャリア入社(2013年入社扱い)
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ビジネスプロデュース職
川越 雄也
ビジネスプラナー
2020年入社
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クリエイティブ職
菅 順史
戦略CD、PRディレクター
2010年入社
Interview 1
ビールを飲むほど未来が良くなる
生活者に響くストーリーを描く
「晴れ風」プロジェクトの始まりについて教えてください。
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荒金
晴れ風のパートナーに選ばれた要因は何だと思いますか?
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荒金
やはり“おいしい”の概念を変える挑戦だと思います。ビールは味ももちろんですが、パッケージや気分で飲まれるもの。だからこそ、一人ひとりの生活者に飲んだ後どんな気持ちになってほしいか、ということを大事にしました。そこで、ビールを通じて「ちょっといいことをした」という気持ちになってもらえるという新しいビール像を提案しました。他のビールにはない強みだということで評価され、無事にブランドパートナーに選ばれることができました。
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菅
あとは、乾杯の意味を変えようという意思もありました。乾杯は、何かをやり切ったあと過去を振り返ってする「お疲れさま」の意味が強かったですよね。しかし、もっと前向きで未来に向けたものにできないかと考えたのです。
当初から「晴れ風ACTION」につながるコンセプトがあったのですね。
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菅
はい。今までにない選ばれる理由をつくるという目的もありましたし、ビール会社としてできるCSV(Creating Shared Value)の実現も目的の一つでした。例えばCSVには二酸化炭素を減らす、廃棄物を減らすといった活動も考えられます。しかしそれよりも「ビールを飲むほど未来においしいビールが続く」というストーリーの方が、より生活者の心に響くと考えたのです。戦後に植えられた桜の木はこれから一斉に寿命を迎えるといいます。ビールをおいしくしてくれた風物詩をみんなで守っていくのがビール会社らしいCSVだし「未来に向けた乾杯」だと考えて、売り上げの一部が風物詩の保全・継承につながる仕組み「晴れ風ACTION」が生まれました。
Interview 2
コンセプトが生活者の行動を変え
事業と社会に貢献
博報堂はプロジェクトのどの段階から携わったのですか?
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荒金
実は商品開発から携わり、CM、PR、店頭POPに至るまでほとんど全てのコミュニケーションを担っています。開発段階から関われることばかりではないですが、コミュニケーションの方法、ひいては生活者目線から逆算して開発ができるのが博報堂の強みですね。例えば、初期のネーミング案はもっと長い名前だったのですが、呼びにくい名前はコミュニケーション上の足枷になります。開発段階で課題に気づくことができるので、一緒に改善していくことができるのです。最終的な商品名「晴れ風」では、一般社団法人日本ネーミング協会「日本ネーミング大賞2024」を受賞することができました。
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菅
名前が「晴れ風」になったとき、ほとんどのメンバーが「いける!」という反応でしたね。「世の中を晴れやかにする」というコンセプトとネーミングが一体になった瞬間でした。
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荒金
コミュニケーションの設計では、キリンの伝統を受け継ぐ王道のビールでありながら、生活者に新しさを感じてもらうことが必要だったので、バランスを意識しました。
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川越
プロジェクトを通じて、週2回くらいの高ペースでグループインタビューを続けました。コンセプトや特設サイトの設計についてどう思うかなど、生活者へのインタビューも重ねましたが、なかにはコンセプトに賛同できないといったようなご意見もありました。ただ、商品開発に意志を持ってやっているため、大切にしている部分を芯に持ちながら生活者の声を受けてアップデートを続けました。
チームの雰囲気について教えてください。
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川越
クライアントとの初めてのミーティングで感じたのは「ここまで距離が近いんだ!」ということでした。お互いが悩んでいることについてフラットに情報を共有することができるので、議論がスムーズに進みます。
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木村
クライアントも一緒にプロジェクトを推進する仲間だと感じています。クライアントと広告会社とはいえ、ただの発注者と受注者の関係ではありません。博報堂メンバーもすべて指示だけで動くわけではなく、「晴れ風」をつくる一員として主体的に動きます。真摯に向き合ってきた姿勢がクライアントにも伝わったからこそ、一つのチームとして仕事ができているのだと思います。メンバーに入れ替わりはありましたが、チームの雰囲気はずっと変わりません。
Interview 3
定番を目指す
「晴れ風」の挑戦は続く
ローンチ後の反響について教えてください。
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荒金
発売直後から売り上げが好調で、一時出荷停止状態になりました。さらに発売から約3カ月で年間販売目標の7割を突破。上方修正した目標も無事達成できました。最終的には当初の目標の130%強を売り上げることができました。 「晴れ風ACTION」の寄付総額は、2025年1月時点で1.1億円を突破しました。
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菅
20〜30代の購入理由の2割弱が「風物詩を守っているから」というデータもあり、ブランドシフトの理由になっています。
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木村
これまでビールを飲まなかった人が飲むようになったという話も聞きました。コンセプトが生活者の心を動かし、実際の行動が変わったことを実感できたのは嬉しい瞬間でした。
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荒金
また、寄付先の自治体では「晴れ風」自体の好感度が上がっています。なかには、市長が自ら発信してくださるケースもあります。ビールを通じて人がつながり、交流する世界がもっと活発化していくといいなと思っています。2024年の寄付先の自治体は94自治体(選定延期となった石川2自治体を含む)でしたが、2025年はその2倍となる188自治体へと増やし、活動の輪を広げていきます。
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木村
「晴れ風」は「これが、これからのキリンビール。」というコピーとともにスタートしました。すでに愛されてきたビールのラインナップがあるなかで、キリンを代表するビールとして打ち出していくことのは、クライアントに強い覚悟がないとできないことだと思います。発売1年目のインパクトは大きいものを残せたと思いますが、まだまだ飲んだことのない人に向けて届けていきたいですし、定番として定着することを目指していきたいと思います。
最後に、学生の皆さんへメッセージをお願いします。
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菅
私は世の中を動かす仕組みをつくりたいと思って就職活動に臨みました。当時は「クールビズ」といった潮流がありましたが、1社だけでは世の中は動かせません。さまざまな企業と仲間になって社会を変えていく仕事をしたいと思い、博報堂に入社しました。今回私は「晴れ風」の仕事を通して、それが形になったと思っています。入りたいと思った動機を、どこかで形にできるチャンスがあるのが博報堂です。ぜひ、今やりたいことを大事にし続けてください。
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荒金
世の中を俯瞰して、自分の経験・知識を総動員して考えることが好きな人は、博報堂を楽しめると思います。あとは「興奮する瞬間」を基準に選ぶといいと思います。人によってはそれが「考えた企画にいいねと言ってもらえたとき」であるかもしれないし、他にもいろいろな瞬間があるはずです。ぜひ自分の喜ぶ瞬間を探してみてください。
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木村
若手に裁量があるのが博報堂の魅力です。私は中途入社ですが、入社してすぐ「年次関係なく、前に出た人が担当になるよ」と言ってくれた上司がいました。実際に働くなかで、まさにそれを体現している会社だと実感したときは、博報堂に入って本当に良かったなと思いました。
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川越
実は私は「絶対にやりたい」と強く思うテーマを持たない就活生でした。それでも「何か大きい仕事したい」「世の中にインパクトを残したい」など熱い思いがあれば、博報堂には、汗をかいて頑張っている人をリスペクトし、応えてくれる環境があります。曖昧でも、強い思いを持ってほしいです。
背景には、2026年に大きな酒税法改正があり、ビール・発泡酒・新ジャンルの酒税が一本化される見込みです。そこに向けて各社が新商品のビールを開発するという業界的な流れがありました。博報堂は以前からキリンビールに生活者インタビューをまとめ、提言を行うなどアプローチを続けていました。