Member
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クリエイティブ職
横山 由季
アクティベーションプラナー、コピーライター
2017年入社
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クリエイティブ職
冨田 佳菜子
CMプラナー
2017年入社
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ビジネスプロデュース職
大槻 美奈実
ビジネスプラナー
2017年入社
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ビジネスプロデュース職
松本 真帆(産休中)
ビジネスプラナー
2017年入社
Interview 1
「女の子の自己肯定感をあげたい」
その思いを形にするために
「ソフィ さらけだ荘」プロジェクトの始まりについて教えてください。
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冨田
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横山
企画の背景には「Z世代はナプキンに対する興味関心が薄く、10代の学生などは自分で選ぶ経験が少ない」という課題がありました。ユニ・チャームではミレニアル世代向けの施策は行なっていましたが、もう少し若い層が自主的にナプキンを選べるようになってほしいという思いがあり、その接点を増やすために、Z世代をターゲットとすることにしました。
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冨田
SNSなどの意見を見て、Z世代は親しい人より他人の方がオープンに悩みを打ち明けられるのではないかと考えました 。それで、同世代のコミュニティをつくるにはTikTokというメディアが良さそうだという話になったんです。
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大槻
クライアントからは「日本の女性の自己肯定感の低さの要因の1つとして生理があるから、なんとか解決したい」という思いをお聞きしていました。解決のためには、生活に近い場所でユーザーに情報を届けることが大事だと思ったんです。
動画の内容はどのように決めましたか?
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横山
TikTok内には生理にまつわるコンテンツは多くありますが、どれも一方的に教える側面が強いと思うんですよね。
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冨田
私たちは一方的に情報発信と感じられるよりも誰かの会話を聞いているような、親しみを持てる感じにしたいと思っていました。初期段階では「本音をさらけ出せる場」ということで、銭湯で会話するアイデアもあったんです。
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横山
当初は自分たちで声を吹き込む案もあったのですが、紆余曲折を経て自動音声になりました。自動音声を倍速にしたことで今っぽくゆるい雰囲気になり、結果的に良かったと思います。
センシティブなテーマですが、取り組みをするうえで意識していたことはありますか?
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横山
まず「意図しない伝わり方をしないように」という意識は常に持っていました。制作段階ではクラウド上でクライアントと字コンテを共有し、随時チェックしてもらうようにしました。
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冨田
ただ、親近感を出したかったので、正解を教えるより、選択肢として「こういうのがあるよ」「こういう選択肢って知ってた?」みたいなスタンスを大事にしました。生理って人それぞれ違うので、解決法でなく「それでいいんだよ」っていうことを伝えたかったんです。
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大槻
チーム編成も商材の性質上、みんなが自分の経験談を話すことになるので本音をさらけだせるメンバーがよく、かつ心理的な安全性を担保する意味でも、普段から仲のいい同期メンバーがぴったりだったんです。
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冨田
生理を経験している人ということで自然に女性メンバーになりましたね。ただ、クライアントにはさまざまな世代の男性もいましたので、活発に意見交換をしました。俯瞰で見て、一歩引いた意見を出せるのは男性ならではですよね。ユーザーの中には初経前の方もいるので、経験者の立場から書いた企画を経験のない男性が見て「わかりにくい」と指摘してくれることもありました。企画会議では男女問わず、クライアントもオープンに話してくれますので、いい雰囲気で運営できています。
Interview 2
コミュニケーションを生む
コンテンツのつくり方
企画を出すうえで、どのようにリサーチを進めましたか?
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冨田
まずはZ世代の1年間のスケジュールをつくりました。そして、時期ごとに「運動会のときに生理だと困るよね」「プールの授業のとき生理で休みづらいよね」「夏はムレが気になる……」みたいに細かく内容を考えていきました。また、生活者目線ということで、小学5年〜中学1年の女の子たちにも、日頃困っていることなどをヒアリングして反映しました。
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横山
その後はクライアントとともに半日かけて各コンテンツのテーマ決めをして、字コンテ作成に入りました。字コンテは、役職関係なくみんなで書いています。なぜなら、生理って個人差がありますよね。PMSがひどい人もいれば、生理痛がないことを逆に不安に思う人もいます。なので、いろいろな人の意見が入るように意識しました。
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冨田
それから、月に1本はテーマを未定にしておいて、ユーザーのコメントをもとにその都度テーマを決めるということもしています。
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横山
例えば、前月に出した動画のコメントをみんなで見て「もらった質問に答えるよ」って感じでアンサー動画をつくっています。以前、X(エックス)で「彼女がお泊まりの時にトイレで生理したんだけど」という男の子の書き込みが話題になったことがありました。これは、 生理の知識が足りないから出てしまった発言かもしれませんよね。 そういったその時期の生理にまつわる世の中の話題も動画に反映して発信することができています。
コメント欄ではユーザー同士で情報交換が行われていますね。
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冨田
はい。一方的な情報発信にならないよう、議論が起こるタイトルをつけたり、動画の最後を問いかけにするなどの意識をしています。「あなたは○○派?」とか「初めての生理の経験、覚えてる?」みたいに。
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横山
例えば、ナプキンのゴミをどこに入れるかという話題についても、直接ゴミ箱に捨てる人もいれば、袋に包んでトイレの専用箱に入れる人もいます。なので、それをネタにしてストーリーをつくり、「みんなはどうやって捨ててる?」と問いかける動画をつくり、コメント欄での発話を促しました。
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大槻
コメントの中にはソフィ公式の立場から回答がしにくい内容もあるのですが、あるユーザーが質問したことに対し、別のユーザーが「私はこうしてる」ってアドバイスなどを共有してくれるんです。内容により、公式からの返信はどうしても時間がかかってしまうこともあるので、ユーザー同士で短時間の間でやりとりしてくださっているのを見ると嬉しいですね。
コンテンツに対する反響や手応えはありましたか?
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横山
以前「ちょうど今日初めて生理がきました」というコメントをくれた方がいたのですが、それに対して「おめでとう」というコメントが連なっているのを見て、コミュニティとしてZ世代の居場所になってきているなと感じました。また、父子家庭の方で「友達にはどんどん生理が来ているけど、自分にも来たときに、お父さんにどう話したらいいかわからない」というお悩みコメントが書かれていました。そのコメントに対し、「自分がいいと思ったら相談してみるのもいいし、周りが来てるからといって焦る必要はないですよ」といったユーザー同士のアドバイスのコメントが集まっていました。そうやって相談できる場になっていると実感でき、嬉しかったです。
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冨田
クライアント企業を受けた就活生で、「さらけだ荘がきっかけで志望した」と言ってくれた方がいたそうです。まさに、TikTokという枠を超えて、Z世代とブランドとの接点をつくることができたんだと実感し、嬉しかったです。
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横山
「ソフィ さらけだ荘」が「TikTok for Business Japan Awards 2024」を受賞した時、クライアントが「この企画は日本の女性たちの自己肯定感を高める力が絶対にある」とおっしゃっていました。はじまりは、TikTokという1つのメディアに特化した一企画ですが、そこからの広がりの可能性を強く感じています。
Interview 3
広告会社の立場から
社会問題に切り込んでいく
このプロジェクトにおいて、ご自身の経験で活かしていることや思いをお聞かせください。
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大槻
私は普段から趣味でSNSで話題になっている投稿 を追っているのですが、生理関連の話は結構話題になることが多いなと思っています。 なので、そういった内容を字コンテに反映しています。趣味が仕事に活きていますね(笑)
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冨田
私はもともと「世の中のタブーをなくしたい」という思いが強かったんです。女性の性をオープンにしようと社内チームで取り組んだこともありました。なので、この案件を通じて若い人たちが生理について話せる場をつくれていることが嬉しいです。
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横山
私個人の思いとしては、この企画を広告の枠から出したいと思っています。 「さらけだ荘」という企画がつくっているコミュニティは広告の枠を超えて誰かの居場所やきっかけをつくれていて、それによって救われる人がいてくれることがとてもやりがいになっています。動画に出てくるキャラクターたちが、悩みをわかちあえるみんなの友達のような存在になってくれたらいいなと思います。
広告会社が社会課題にアプローチする醍醐味をお聞かせください。
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大槻
クライアントは自社ブランドを中心に本当に深く考えられていて。例えば、生理に関する啓発についてはとても詳しく、多くの情報を提供していただけます。逆に我々は第三者的視点で課題と向き合うことができるので、例えば、逆の考えで、生理に対する知識が少ない人もいるのでは、という気づきを伝えることができます。博報堂の強みである生活者発想で解決できることがたくさんあると思っています。
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冨田
社会課題解決のヒントを探している企業に対して、広告会社は「きっかけ」をつくってあげることができると思います。博報堂ならではの様々な手法を駆使して、様々な企業の社会課題解決プロジェクトに参加できるのもいいところ。マルチクライアントだからこそ、やりたいことを実現できる可能性があります。
最後に、学生の皆さんにメッセージをお願いします。
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横山
私が入社を迷っていた頃、人事の方から「博報堂の仕事は、あなたのこれまでの経験すべてが活きるよ」と言われたんです。広告会社は自分が人生で抱えてきた、世の中への想いを何らかの形にできるのが強いですよね。「こんな世界になったらいいな」「世の中の人が少しでも考えるきっかけをつくりたいな」という想いを仕事と結び付けられる機会があるんです。アスピレーション(内なる想い)が仕事につながる瞬間があるので、自分の想いや好きなことにまっすぐ、それを伝え続けることを大事にしてほしいと思います。
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大槻
この会社では基本的に、就活時や内定後に資格やスキルを一切求められません。仕事に必要なのは、いっぱい街に出る、好きなことをする、など。日々の経験や感じたことすべてが仕事のためのインプットになっているんですよね。好きなことをしていることで「あのアニメ好きだよね」「このアイドルのこと教えて」みたいに声をかけられて、仕事に活かせる会社です。「自分は何者でもない」と思っているのは自分だけ。みんなが何者かになれる会社だと思います。
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冨田
私は彫刻科出身だったので、入社から2、3年は同期の優秀さや自分の無力さに落ち込んでいました。でも自分の好きなことを言い続けていたら仕事につながっていったんです。最初は「自分には何もない」と思っていたけど、何もないところにも何か必ず出てくると思うので、それを楽しみにして過ごせるといいですね。TPOを考えつつ、バッグにぬいぐるみつけても怒られないし、髪も青くできるし、自由に働ける会社です!
もともと私と横山、今産休中の松本という同期入社の3人でユニ・チャームを担当していました。今回のプロジェクトは「若者向けに動画をつくりたい」という相談を受けて、一緒に企画を進めてきたものです。