DREAM MILES PASS
日本航空
移動は夢を掴むためのチャンス
日本の翼であるJALと共に夢を追う生活者の背中を押す
企画にあたって注目したのは、若者の移動格差。
24年末時点で、外務省の統計によると日本人のパスポート取得率はわずか17%で、若者の4人に1人は経済的な理由で進学や留学、遠征などの移動を諦めてしまっているという調査結果もある。
夢があるのに、夢を持っているのに、移動ができないからその夢を諦めざるを得ない若者たちが多くいるという現実。一方で、移動は夢をつかむためのチャンスでもある。
そんな背景から、JALが若者たちの移動を支援することで、夢の実現をサポートできるのではないかと考えた。ずっと抱いていた夢を応募してもらい、その夢に挑戦する、夢を叶える第一歩となる場所まで移動するための航空券をJALが提供する。更にJALマイレージバンク会員が自分の持っているマイルの一部を、この夢への移動に提供できるシステムもつくった。
こうして、JALだけでなく、日本じゅうの大人たちで若者たちの夢への挑戦を応援するプロジェクト「DREAM MILES PASS」が生まれた。
「移動が誰かの力になる」
企業の意義を実感した瞬間
キャンペーンは2回、3回と続き、3回目には初回参加者からの推薦で応募してきた人もいた。人から人へ、自分たちがいないところでもJALの想いはしっかりと伝わっている。3回で終わりを迎えたこのキャンペーンは、若者と移動、若者とJALとの心の距離を縮めることに貢献し、同社に対するイメージアップにもつながった。これまでに集まった夢のための総移動距離は、地球1,870周分に相当する7,458万km。多くの若者たちの夢が、実現に一歩ずつ近づいている。
若者の移動格差に着目し、「移動」によってたくさんの若者たちの夢の実現を後押ししてきたJALチーム。社会の力になろうとJALの担当者とともにプロジェクトを進めてきたこのチームの中に「もしも自分がいたら」なんて、働く自分を想像しながら読んでみてください。
Member
吉岡 直
アートディレクター(ハッピーアワーズ博報堂出向)
2011年新卒入社(16年目)
寺岡 重人
クリエイティブディレクター(ハッピーアワーズ博報堂出向)
2012年新卒入社(15年目)
岸井 弘一
チーフビジネスプロデューサー
1995年新卒入社(32年目)
Interview1
若者の移動格差が
夢の格差であってはならない
── DREAM MILES PASSプロジェクトはどのように始まったのでしょうか?
寺岡
始まりはJALが抱いていた課題意識でした。円安や物価高、LCCの台頭もある中、コストパフォーマンスや体験価値を重視する若者も増えていますよね。飛行機代を節約して遊びのお金にしよう、っていうマインドがある中で、いかにJALを選んでもらうか。ブランドイメージ向上によって、若者とJALとの心の距離を縮めたい、というのが大きなテーマでした。同年11月から1回目のキャンペーンをスタートしました。
吉岡
企画を構想するにあたって、まずは若者と「移動」の関係性に着目したんです。
寺岡
日本人のパスポート取得率はわずか17%。そもそも「移動」から遠ざかっている現状があります。調査の結果、若者の4人に1人は経済的な理由で進学や留学、海外・地方遠征などの「移動」を諦めていたこともわかりました。でもやっぱり「移動」って夢をつかむためのチャンスでもあるんですよね。だから、移動インフラのJALが若者の夢のための「移動」をサポートできれば、若者と「移動」、さらには若者とJALの心の距離も縮まるんじゃないかって考えました。
岸井
JALは人と物を運ぶ航空会社ですが、これからは人と人との出会いや関係、つながりといった価値を創っていきたいという想いをかねてからお持ちでした。
寺岡
JALには厳しい時代もあったので、これまでは「いかにビジネスとして成功させるのか」がすべてのKPIでした。ですが今回は、増収よりもブランドイメージの向上につなげたい、と目指す方向性を明確に伝えてくださった。そういう強い意志のあるオリエンだったので「JALブランドにとっても、社会にとっても有意義な提案にしよう」と気合いが入りました。
Interview2
本当は日本人の夢って
こんなに大きかったんだ
── このプロジェクトで一番汗をかいた瞬間は?
吉岡
企画の象徴になるものとして、「夢へのチケット」をデザインしました。Webでみんなの夢を募集し、その行き先や距離を可視化することで、「移動=夢に近づくこと」が自然に伝わるようにしています。そうしたチケットの考え方を起点に、Webだけでなくグラフィックや動画にも一貫して展開していく部分は、最後まで調整を重ねたポイントです。
岸井
選考では、JALの担当者と一緒に1万人以上の応募者の方の夢に目を通しました。その中で、実際に夢に挑戦してもらいたい方を選び、今度は全員と面談しました。やっぱり夢を持った人と話すと感化されるんですよ。いろいろな夢の話を聞いて、「夢を追うっていいな」「応援したいな」って心から思いました。
寺岡
JALの方が我々と一緒に面談に参加してくれたことが良かったと思います。ただチケットを渡すだけの関係でなく、夢を聞いて、応援したいと心から思って、チケットをお渡しする。そうするとJALの方も「JALのチケットでこんなに目を輝かせてくれるんだ」とか「JALさんありがとうって言ってくれるんだ」と、お客様とのつながりを実感できるんです。あえて労力のかかる選考プロセスを踏んだことで、同席した博報堂とJALの担当全員が夢を追う1人ひとりと正面から向き合うことができました。
── 特に印象に残っている夢はありますか?
寺岡
九州からアメリカに渡った大学院生の方です。彼は火星移住のための基礎研究をしていて、論文が認められてアメリカに呼ばれていたのですが、「移動」がハードルとなり行けなかった。それで今回、JALがサポートすることになりました。彼の研究は、生きている間には解決できないようなとても長いスパンの話です。だけど彼を応援すると、人類の寿命が延びるかもしれない。彼の研究が人類の未来につながっていると思うと、すごく意味のあるプロジェクトだなと思います。
岸井
「南極観測隊になるために北海道大学に行きたいけど、移動費用がなくて受験をあきらめた」という方もいました。その方は今回のチケットを使って受験しに行き、無事に合格できました。夢に一歩近づいた瞬間を目にすることができました。
── 成果や反響はいかがでしたか?
岸井
JALの入社式や機内誌「SKYWARD」で、JALの社員の方がこのプロジェクトに言及してくださりました。「JALとして夢を追う人々を応援するんだ」という企業全体のアクションになったのは、大きなことだと思います。
寺岡
今までに集まった夢の総距離は7,458万キロで、地球約1,870周分です。それって単純にすごいなって思って。「あなたの夢を教えてください」と言われてすぐに書ける人は多くないかもしれないけど、本当はみんな「移動」したいと思っているし、大きな夢を抱いている。昨今の社会情勢もあり、海外で挑戦できる人も少なくなって、夢が小さくなっているように個人的にも感じていたけど、「本当は日本人の夢ってこんなに大きかったんだ」と心から希望を感じました。そんな風にみんなの夢を引き出せたのも、JALの皆さんと一緒にこのプロジェクトに取り組めたからこそです。
Interview3
クライアントと一緒に
その先の社会に向き合う
── このチームや博報堂の強みをお聞かせください。
岸井
徹底的にクライアントのマインドに寄り添えること、そして施策をクライアントの先にある社会と結びつけられることです。この2つを両立させられるチームはなかなかいない。ビジネスプロデュース職(以下、BP職)としてこのチームには絶大な信頼を置いています。
寺岡
クライアントが喜ぶものを出すだけでは一流じゃない、という話はチームのメンバーにもよくしていて。社会が本当に喜ぶアイデアを出すことが一流だし、それをクライアントがいいと思って、一緒に前を向いてくれることが超一流だと思うんです。僕らがJALを通して向き合うのは生活者ですから、生活者が振り向いてくれるかどうかを考えて、自分たちが誇りに思えるアイデアを提案することは意識しています。それを信じてくれたBP職の岸井さんにも感謝ですね。
── 生活者の心を動かすために意識している点を教えてください。
吉岡
デザイナーとしては、コンセプトをビジュアルで体現することはもちろんですが、それだけでなく、ビジュアルを目にしたときに「あ、素敵だな」って生活者の心が動くかどうかを意識しています。
寺岡
商品やクライアント、その先の社会にまで向き合って、クライアントと一緒に社会を見られるクリエイティブディレクターでありたいなと思っています。
岸井
僕はBP職なので、JALを徹底的に理解し、JALの社員の視点に立って生活者を捉え、社内のメンバーにも向き合っている感覚です。
寺岡
いい企画を、いい状態で世の中に出すのってすごく難しいことです。でも、クライアントならではの言葉とか進め方をしっかり理解している岸井さんのようなBP職がいると、いい企画はもっとよくなると思うんですよ。なので、岸井さんがいてよかったなってつくづく思います。
── 最後に、学生へメッセージをお願いします。
吉岡
近年は他の業界でもクリエイティブに携われる機会もあると思うのですが、職種ごとに携われる領域が分かれていることが多いと思います。博報堂は、専門性はありつつも、職種の垣根を越えていろいろなチャレンジができます。一つのデザインを突き詰めるのも素敵ですが、デザインだけじゃなくプラニングにも携わることもできたり、大きなチャレンジができるのが魅力なのかな。
岸井
博報堂には自分を成長させてくれる先輩や仲間がいます。そういう関係性が残っているのが博報堂のよさです。「やりたい」って意思表明すれば道は開けるし、成長したいと思っている人を成長させてくれる。長い年数働いていると、自分がいる場所のよさがわかってきます。あと、博報堂では、クライアントが喜べば、上司が反対したとしてもやっていい場合があります。自分自身が博報堂の人格として仕事をできるというのは、この職場の醍醐味ですね。
寺岡
博報堂は仕事を楽しめる会社です。若い頃は「この仕事をつまらなくしているのは、クライアントではなくお前だ」なんて言葉もありますが(笑)、本当にその通りだと思っています。「このプロジェクトに人生を賭けるんだ」というものがあれば賭けられる。だから、決められていないことを楽しめる人、新しい楽しみ方を見つけられる人には最適な場所です。
仕事の流れ
プロジェクトにおける職種の相関図
日本航空
ビジネスプロデュース職
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岸井
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ストラテジックプラニング職
クリエイティブ職
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寺岡
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吉岡
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PR職
メディアプロデュース職
コンテンツプロデュース職
メディアプラニング職
1
プレゼン
JALのブランドイメージ向上を目指すという課題に対し、若者と「移動」の関係を調査。若者の4人に1人が経済的理由で「移動」をあきらめているという実態から、「移動格差を是正することがJALにしかできないアクションだ」という確信に至り、「DREAM MILES PASS」を提案。
参加メンバー
2
企画をブラッシュアップ
当初の提案には、大人からマイルを集めるサポーターの仕組みは存在しなかったが、「支援を受ける若者にしか喜ばないのではないか」というクライアントの提言をきっかけに、ドリーマーとサポーターの2層構造が生まれた。チームとクライアントがともにアイデアを出し合うことで、プロジェクトはより広い社会性をそなえた姿へと成長していった。
参加メンバー
JALと私たち、お互いがアイデアを出し合うことで、プロジェクトとして加速しました。「JALが若者を応援するプロジェクト」が、「日本中が若者を応援するプロジェクト」に昇華した瞬間でした。
吉岡
3
キャンペーンの実行
応募された1万件以上のすべての夢に目を通し、当選した全員とオンライン面談を実施。JALの担当者とともに夢を聞き、応援したいと実感した上で、チケットを手渡した。「チケットのバラマキキャンペーンにはしない」。その強い意志が、プロジェクトに本物の重みを与えた。
参加メンバー
正直、最初は「本当の夢なのか確かめたい」という理由から始まった面談でしたが、ふたを開けてみたら、いい加減なことを言う人なんて誰もいないんです。本気の夢を持った人たちと話せて、心から「応援したい」って思いました。
岸井
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次のアクションへ
キャンペーンは回を重ねるごとに大きくなっていった。第3回の応募者の中には、初回の参加者に勧められて来た人もいた。このキャンペーンの広告費が減っても応募数は変わらず、JALの想いが自発的に広がっていった。3回で区切りを迎えたキャンペーンだが、次の形を模索している。
参加メンバー
1回目のローンチ後、当時の担当者の方が泣きながら「ようやくJALが誰かを応援できるところまで来た」っておっしゃったんです。社会に応援してもらって厳しい時代を乗り越えてきたJALが、そういう立場になれた、と。僕も嬉しくてもらい泣きしました(笑)
寺岡
※社員の所属、職種、その他の全ての情報は本記事掲載開始日時点のものであり、現在の情報とは異なる場合がございます。
一番気合いが入ったのは、クライアントが「増収より、ブランドのイメージ向上につながるかを大切にしたい」と明確に言ってくださったこと。JALにとっても、社会にとっても本当にいいことを提案しようと思いました。
寺岡